「なぜ通訳者・翻訳者になったのですか」――答えはきっと人それぞれ。この「マイストーリー」ではサイマル・インターナショナルで活躍する通訳者・翻訳者の多彩なストーリーを不定期連載でご紹介します。今回は翻訳者の髙野和歌子さんにお話を伺いました。
翻訳者をめざしたきっかけ
学生時代から英語が好きで、漠然と語学に関わる仕事がしたいと考えていました。社会人になって数年は一般企業で事務職として働いていましたが、結婚や子育て、定年などに関係なく、英語を使って自分自身のスキルで一生働ける仕事に魅力を感じるようになり、翻訳者をめざすようになったのです。
働きながら翻訳学校に通い、実務翻訳と文芸翻訳、両方の講座を受講しました。その後、1年間のイギリス留学を経て、派遣社員として複数の企業で翻訳業務を含む仕事に従事しました。それまで英語を使った業務をしてこなかったため、初めのうちはなかなか自分が希望する職種に就けなかったものの、徐々に翻訳業務の割合を増やしていくことができました。
子育てと仕事の両立
最終的には翻訳会社でチェッカー兼コーディネーターの職に就くことができ、そこで5年ほどキャリアを積みました。その期間に結婚・出産を経験したことが次のキャリアチェンジのきっかけになりました。
海外オフィスとのやり取りも増え、時差の関係もあり、なかなか時短で業務が終えられる職場ではなかったため、子育てのために独立してフリーランスに転向しました。ちょうど産休・育休中に会社がアメリカの大手ベンダーに買収されたことで、それまでの少人数ベースで融通が利いていた職場環境から変わってしまったことも大きな要因となりました。
フリーランスで役に立ったそれまでの経験
買収合併前の会社では、チェッカーとコーディネーターの業務をこなしていたので、受注から納品までの一連の翻訳フローに携わることができました。その経験が、その後のフリーランス翻訳者・チェッカーとしてのキャリアに大きく寄与していると思います。
特にチェッカーの業務において、数多くの翻訳(日英/英日、日本人/外国語ネイティブの文章)に目を通すことは、自分のスキルアップにつながっていたと思います。また、限られた時間内に、クライアントの求めるクオリティに仕上げるよう努めるとともに、その先のフリーランスへの道を視野に入れ、スキルの高い翻訳者の翻訳物から学ぶ視点を常に持つようにしていました。
翻訳と直接関係のない仕事に就いていたとしても、決してその経験が無駄になることはありません。翻訳案件では、さまざまな業界のさまざまな分野の事柄を扱うことになります。どのような業界に身を置いていても、アウトプットするスキル、リサーチスキル、顧客目線に立つ姿勢などは共通して身に着けられますし、翻訳業務にも必ず役立つと実感しています。
翻訳はライフステージに合わせて調整ができる仕事
フリーランスに転向後は、正直、収入面では会社勤めしていた頃に比べて減少しました。案件が多い月と少ない月があって安定はしていません。ただ、2人の子供の子育て中という自分の現状で、優先順位の高い「都合に合わせて仕事のスケジュールが立てられる」「在宅で時間の融通が利く」が叶えられているため、フリーランスになって本当によかったと思っています。
キャリアを築く上では、その時々で、人それぞれ優先順位が異なってくるでしょう。収入よりもスキルアップを図るのに重点を置く時期、家族との時間を優先するべき時期、その後のキャリアアップを見据えて安定的収入を確保することが大事な時期などさまざまだと思います。大切なのは、それぞれの時期において、常に自分が将来めざすべき方向を見失わないよう、翻訳という仕事に向き合っていくことではないでしょうか。
上智大学外国語学部卒業。日系金融機関にて一般事務職に就く。退職後、イギリスに1年間語学留学。 帰国後、派遣社員としての複数の職務経験(WEB制作・編集、国際展示会のコーディネーター、通信業界シンクタンクでの翻訳事務)を経て、翻訳会社に就職。チェッカー兼コーディネーターとして働いた後、フリーランスに転向。
として働くなら
サイマルへ
サイマル・グループでは、世界との交流を共に支える通訳者・翻訳者を募集しています。あなたのキャリア設計や就業スタイルにあった働き方で、充実したサポート体制のもと、さらなる可能性を広げてみませんか。