サイマルの翻訳~これまでのあゆみと今後の展望~

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通訳の印象が強いサイマルですが、翻訳サービスも充実していることはご存じですか。今回は、そんなサイマルの翻訳事業について、ジェネラルマネジャーのおひとりである中島智美さんにお話を聞きました。

サイマルの通訳サービスと翻訳サービスに共通するもの

――中島さんは、翻訳事業部にも通訳事業部にも所属されたことがあるそうですが、両事業部に印象の差などはありましたか?

中島(以下、中):そうですね。通訳事業の場合、サービスのクオリティという面では通訳者のパフォーマンスによるところが大きいので、私たちの仕事は通訳者が現場で100%の力を発揮できるよう最大限サポートをすることです。一方で翻訳は、翻訳者がいて、チェッカーがいて、最後にコーディネーターが最終版に仕上げて納品します。私たちが最終成果物にかなりコミットするわけです。お客様の窓口である翻訳コーディネーターが、お客様にお届けするサービスのクオリティに大きくかかわる、製作部隊の一員だと思います。

とはいえ変わらないところも、もちろんあります。それはお客様への対応や、通訳者翻訳者の方々とのコミュニケーションが大事という点です。お客様が何を求めていらっしゃるかというニーズをしっかり把握して、担当する通訳者翻訳者と協働してサービスを提供していくところは通訳・翻訳業務どちらも共通しています。

お客様、コーディネーター、翻訳者は1チーム

――お客様のニーズを把握し、翻訳者に伝える存在としてコーディネーターがいますが、サイマルのコーディネーターの特長はなんでしょう。

:コーディネーターの仕事としては、どの翻訳会社さんも同じなのだと思います。その中で、サイマルの翻訳コーディネーターの特長を考えると、信頼と高品質のサイマル・ブランドを重要なものと認識している、という点が大きいと思います。お客様からのお問い合わせを一つ一つ誠実に、時には難しいご相談をいただくこともありますが、さまざまに工夫してご提案しています。コーディネーターひとりひとりがサイマル・ブランドであると感じています。

――お客様からコーディネーターへのフィードバックなどありますか?

:ありたがいことに、お客様からお褒めやお礼の言葉をよくいただきます。また、私たちも、つねに自分たちが「お客様に何と言っていただきたいか」を考えるようにしています。私たちは「期待以上だった」という評価をいただきたいので「これくらいでいいかな」と妥協せず、精一杯を心がけています。お客様のご依頼には必ずと言っていいほど時間や予算の制限がありますが、その中でのベストをご提案させていただくようにしています。お客様との目線あわせを大切にし、お客様、コーディネーター、翻訳者の全員でチームとして仕上げていくのです。

――お客様もチームの一員なのですね。

:はい、お客様の協力は不可欠なのです。お客様と翻訳者との間のコミュニケーション、信頼関係が大変重要ですね。

――では、翻訳者登録についてはいかがでしょうか。


:翻訳事業が急拡大していますので、常に翻訳者は募集しています。特にニーズが拡大している業種、分野へは集中したリクルーティングをしています。各分野で、より高い専門性が求められていますので、試訳も分野ごとに準備し、採用後にお仕事をお願いしやすいように登録面談では、ご実績等をかなり詳しく聞かせていただいています。

――翻訳者には専門性が求められていくのですね。

:まずは基本的な翻訳スキルがあることが大切です。その上で専門分野の知識があると強いです。そしてチームとして仕事を進める上ではレスポンスの早い方、またこれからは翻訳支援ツールを使う仕事が増えていきますので、ぜひ皆さんに使えるようになっていただきたいです。

――登録後のフォローなどはありますでしょうか。

:毎月登録者情報を確認し、新規ご登録の方へお仕事の依頼ができるような仕組みを作っています。また、必要に応じてフィードバックをしながら、サイマルの仕事に慣れていっていただけるよう、採用管理チームと一緒にサポートしています。

一例ですが、テーマを決めてワークショップのご案内をしています。オンラインで見ていただけるものを作って、遠隔地にお住いの方にも視聴してもらっています。品質管理の担当者から定期的に情報発信もしています。前回は「直訳と意訳」というテーマでしたが、ご登録者の方々からの反応もかなりありました。

また、以前は『翻訳ブログ』という形で、お客様にサイマルの翻訳に取り組む姿勢や、翻訳についての理解を深めていただけるような内容の情報発信もしていました。

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――『翻訳ブログ』から『通訳・翻訳ブック』に転載した記事は、メニューに関する翻訳をはじめ、今も大変人気がありますね。

:そうですね、標識や掲示などのサイン和食のメニューの英訳などは機械翻訳では難しいですよね。文化や背景、それを読む対象者などを盛り込んでの翻訳ですから、単語の置き換えだけではできません。『翻訳ブログ』は、アカデミックな内容とやわらかい内容、硬軟織り交ぜて、と工夫していました。当時はコーディネーションをしながらブログのアップデートをしていましたので本当に大変だったのですが、今は『通訳・翻訳ブック』で定期的に発信できているので良かったと思います。

これから伸びる分野、増えていく分野

――今後に関してですが、サイマルの翻訳サービスの中でこれから伸びる分野は、ずばりなんでしょうか。

ディスクロージャーは増えていくでしょう。このコロナ禍でもご依頼が減ることはありませんでした。今年4月から株式会社TAKARA & COMPANYの一員になったということも大きいですが、以前からディスクロージャー翻訳のニーズは多くありましたし、これからも英文開示率は増えていくと思います。

また、医薬も伸びていくと思います。このような分野では常にニーズがありますので、翻訳者、営業、コーディネーターのそれぞれで体制を整えていきたいと思っています。

「通訳のサイマル」から「通訳と翻訳のサイマル」に

――そのような見通しのなかで、今後の展望をお聞かせください。

:10年前と比べて翻訳の事業規模は3倍になっています。事業部もサービスもコンパクトな時代から、コーディネーターをはじめとする社内メンバーが増え、案件数が増え、ご登録いただいている翻訳者の方々も増え続ける中で、専門対応チーム化への変革期だととらえています。常に変化し続ける組織の中にいるメンバーも大変だと思いますが、サイマルの強みをもって、お客様のご要望……納期優先なのか、価格優先なのか、などをそれぞれのご依頼の状況をしっかり把握して最善の対応をする。訳文の品質だけではなく、コーディネーションを含めての高品質を提供し続けたいと考えています。「通訳のサイマルが翻訳もやっているんですね」と言われることがまだあるのですが、近い将来「通訳と翻訳のサイマルといってもらえるようになると確信しています。

レイアウトが1ミリずれているなど、見た目で崩れていると「中身もダメなのでは」と思われたりする……。翻訳サービスとは、文字を置き換えするだけではないですよね。そういう細かい部分まで配慮した、満足度の高いサービスを提供していきたい。より多くのお客様や翻訳者の皆さんに「サイマルと仕事をしてよかった」と言っていただけるよう、がんばります。

 

『通訳・翻訳ブック』編集部

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