短くも難しいサインの翻訳【サイマル通信】

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通訳・翻訳業界で働くサイマルのスタッフがお届けする「サイマル通信」。エージェントの視点で、業界にまつわる話題や、スタッフの仕事など、好奇心をくすぐる話題をあれこれご提供します。今回は、翻訳コーディネーターがサインの翻訳についてご紹介します。

サインは、ぱっと見て意味が分かることが重要

こんにちは。翻訳コーディネーターのM.N.です。
最近、サイン(標識や掲示)の翻訳のご依頼が増えています。東京オリンピックなどの影響もあるかもしれません。街なかでも、外国語と併記されているサインはよく見かけますよね。

サインの翻訳というと、短いから簡単そうだと思いませんか? 実は結構いろいろな要素が絡んでいます。

サインは、ぱっと見て意味が分かることが重要です。じっくり読むものではありませんし、表示スペースも限られます。ですから翻訳は簡潔にすることが必要です。長いと文字も小さくなり、見づらいし理解するのに時間がかかります。

どのくらいの表示スペースがあるのか、そのサインがどこに設置されるのか、訳文はサイン全体のどこに表示されるのかも翻訳に関わります。そのため、ご依頼時にはお客様に設置予定場所の写真や、どこに翻訳を入れる予定かが分かる参考資料を送っていただいたりします。

翻訳文だけでなく、レイアウトも重要

また、翻訳文そのものだけでなく、レイアウトも重要です。先日、お客様から「日本語と英語と中国語と韓国語を並べて表示したいが、中国語は英語や韓国語に比べて文字が込み入っているため、フォントを大きくした方がいいだろうか」とご相談をいただきました。
1言語だけフォントを大きくするのは見た目にも美しくないし、その差に意味を見出されてしまう恐れもあるので、そろえるようお勧めしました。ですが確かに、文字が太いと細かい文字はつぶれてしまいますから、見やすさに配慮したフォントを使う必要があります。

ちょうどそのとき台湾にいた友人に、台湾のサインの写真を送ってほしいとお願いしました。

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これはバス停の写真です。ほんの一例ですが、日本語のバス停のイメージより、文字が細めだと思いませんか。

翻訳は、字面を他の言語に置き換えるだけでなく、その文書の目的や読者の文化的背景を考えることが必要です。そして、使用用途によっては、どのようなフォントでどうレイアウトされるかも、読み手への伝わりやすさに影響する大切な要素になります。

そう思うと、目に入るいろいろなサインに興味がわいてきます。

これからますます外国の方が増えるであろう日本のサインが、読み手にとって分かりやすいものになるよう、少しでもお手伝いできたら大変嬉しいです。

 
翻訳コーディネーター M.N.

(注)この記事は2016年2月「サイマル翻訳ブログ」に掲載されたものです。

 

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