新しい読書体験のすすめ【通訳者・翻訳者の本棚から】

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皆さんはどんな形態の読書がお好きですか。紙、電子書籍、TPOで使い分けているという人も多いかもしれません。サイマルで活躍中のプロが、通訳者・翻訳者人生にかかわる一冊を紹介する「通訳者・翻訳者の本棚から」。今回は少し趣向を変えて、通訳者の澤口真子さんが読書の楽しみ方をご紹介します。

朗読で楽しむ読書

新型肺炎コロナウィルスによる感染拡大が続く中、自宅で過ごす時間が長くなりました。ゆっくり読書に費やす時間も増えていますが、ちょっと変わった読書体験をご紹介したいと思います。

◆いつでもどこでも手軽に聴ける

それは「Audible(オーディブル)」というAmazonが提供している本の朗読を聴いて楽しむコンテンツで、幅広いジャンルから和書・洋書10,000冊以上のタイトルが揃っています。スマホ・タブレットに専用アプリをインストールすることで、いつでもどこでも手軽に聴ける新しい読書スタイルを実現できます。月額1500円で毎月1コインがもらえ、好きなタイトルを一冊購入できます。利用しなかったコインは6か月間有効で、当月に好みのタイトルがなければ後に持ち越せます。

プロのナレーターもしくは、作家本人による朗読が特長で、まさに没入的な体験が可能。朗読のスピードも0.5x(ゆったり)から3.5x(かなり早口)まで自在に変えられ、スリープタイマー機能もあるので、就寝前の30分間だけ聞いて寝落ちしても、元の場所に容易に戻れるので安心です。

このAudible、もともとは主人のおすすめでした。大の読書好きだったのが、仕事でなかなか時間が取れず、しかも老眼が始まり長時間の読書は難しいと感じていたところ、知人から紹介されたそうです。車の中や、ジムでトレーニング中 (今は休会中)などに時間が有効活用できると愛用しており、月に4~5冊のペースで楽しんでいます。当初私は、本の朗読を聴くなんて邪道だと敬遠していたのですが、一度始めるとその便利さと楽しさにすっかり虜になってしまいました。

◆忙しくても本の世界に浸れる

通訳者としてAudibleを利用する楽しみは、仕事と無関係の本をストレスフリーで楽しめること。連日会議案件が続き、資料の読み込みだけで膨大な時間が取られる中、プライベートな読書時間はなかなかとれません。しかしAudibleであれば電車の移動時間や家事の合間のすき間時間に聴き進めることができます。読みたくても時間がとれなかった過去の芥川賞などの文学賞を受賞した本の世界にどっぷりと浸ることで、大いに気分転換となっています。

最近のお気に入りは2018年に直木賞と山田風太郎賞をダブル受賞した真藤順丈氏の『宝島』(講談社)。ナレーターは沖縄出身の松本健太氏。本物のウチナーンチュで戦後復帰時代の沖縄を生き抜く三人の幼馴染と彼らを取り巻く若者たちが語られる超大作です。過去に那覇で数年暮らしたことがあり、リアルに情景を思い浮かべながら夢中になって18時間22分を聴き終えました。(実際は1.2倍速でもう少し短時間でした。)


次に見逃せないポイントとしては、作家自身がナレーターを務めるタイトルもあること。先日通訳をさせていただいたパーソナルコーチで講演家のサリー・ヘルゲセン氏は、著書『How Women Rise: Break the 12 Habits that are Holding You Back』(Hachette Books/邦題:『コーチングの神様が教える「できる女」の法則』日経BP社)のAudible版で共著者マーシャル・ゴールドスミス氏とナレーションを担当しており、事前にヘルゲセン氏の話し方の癖やアクセント、ワークショップの内容の理解を深める上で大変役にたちました。本書はキャリアップを望む働く女性たちにとって何が重要か、どんな「悪癖」があるかを伝授する示唆に富む内容となっており、おすすめです。


このほか、作家自身が朗読する本として楽しめたのは、ベストセラーとなったオバマ元大統領の奥様ミシェル・オバマ氏の著書『Becoming』(Crown Publishing Group/邦題:『マイ・ストーリー』(集英社)」です。シカゴの中でも治安が悪いことで知られているサウスサイド出身で努力を重ねてハーバードのロースクールを卒業、法律事務所に弁護士として勤務、ここでバラク・オバマ氏と出会いファーストレディとなるまでの自身と家族の波乱万丈の人生を、時に穏やかに、時に熱を込めて語るAudible版は、彼女の温かく誠実な人柄がダイレクトに伝わってきます。いつか通訳をさせていただけたら、どんなにありがたくうれしいでしょうか。


外出自粛が続いていますが、本があればいつでもどこにでも想いを馳せることができます。
A book is a vehicle capable of transporting you to multiple dimensions.
皆様もぜひAudibleを通じて異次元の体験をお楽しみください。

 

  

 

澤口真子さん
澤口真子(さわぐちまこ)

1973年生まれ。幼少期と中学から大学の途中まで通算11年間をカナダ・バンクーバーで過ごす。国際基督教大学教養学部卒業後、外資系医療メーカーのMRを経て会議通訳者の道へ。大臣級会合から企業の決算発表まで幅広いジャンルの通訳を担当する。

 

注:各書籍の紹介先リンクは、Audible公式サイトではなく、各出版社公式サイトの書籍紹介ページとなっています。


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