大阪・関西万博における通訳・翻訳の役割

提供:2025年日本国際博覧会協会

いよいよ開幕まで500日を切った「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」。華やかな海外パビリオンのコンセプト発表が日々報道されつつあるこの機会に、万博のコンセプトや開催に向けた準備、裏方で支える通訳者翻訳者の役割などについて、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 広報・プロモーション局 上席審議役 兼 海外コミュニケーション部長の吉村佐知子さんに伺いました。

大阪・関西万博のテーマと概要

――最近、メディアでも万博に関する話題を耳にすることが増えてきました。いよいよ開幕まで500日を切りましたが、今回の万博のコンセプトや注目ポイントについて教えてください。

吉村さん(以下、吉):11月30日で開幕500日前、来年の4月13日で1年前となるので、私たちもまさに今急ピッチで準備を進めているところです。

今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」がコンセプトです。「いのち」といっても、人間の命もあれば地球の命もあります。地球の命とは環境問題ですね。万博では「どうやって未来社会を築いていくのか」を世界中のみんなで考えていく場を提供したいと考えています。各界のトップランナー8人に企画プロデュースをお願いしていますが、「どういう未来を築くことが出来るかということを、万博を実験場にして色々とやってみましょう」ということです。

今まさに500日前になってチケットの販売も開始する段階にきており、国内だけではなく海外にも発信していこうという状況にあります。約2,820万人の目標来場者のうち、350万人は海外からのお客様を想定しています。そんな中、海外への広報活動を担う部署として、海外コミュニケーション部が今年4月に新設されました。広報部隊を作って、参加国とともに、どんなイベントが出来るか情報収集を始めています。

――世界中から多くの参加国とコミュニケーションを取るとなると、色々なご苦労もあるのではないでしょうか。

課題としては、言葉の壁があります。例えば何かを翻訳するにあたって、基本的にはもとの日本語をそのまま直訳しているのですが、今後は海外メディアがより魅力的に感じるよう、「単純に訳す」というより「その言語での発信」というものをやっていく必要があると感じています。

またコミュニケーションを取る相手によって、万博の経験回数や万博に求めるものなど、持っている情報量や背景が異なります。各国の状況を常に把握し、言葉ひとつにも背景がどういうことなのかを考えながら話していく必要性を感じています。相手が発する言葉以上に、何を求めているかというのを察しながら、日々コミュニケーションを取るようにしています。

左:大阪・関西万博の公式キャラクター。愛称「ミャクミャク」 右:「ベストプラクティスエリア」イメージ(提供:2025年日本国際博覧会協会)

大阪・関西万博の特長

――今回の万博の特長で「未来の技術と社会システムが見える万博」というのがあります。社会システムの転換点となり新しい産業が生み出される場として期待されていると思いますが、この事業を推進していくためにはどのようなことが必要になりますか。

コンセプトは「未来社会の実験場」なので、世界が一斉に集結して色々な技術を共有し合う場になってほしいと思います。これまでの万博は、とにかく見せることに重点が置かれていましたが、今回の万博では単にショーケースするだけではなくて、コミュニケーションを取りながら地球規模の諸問題の解決に取り組んでいける場になればと期待しています。
そのためには私たちがどのようなことが経験できるか、どんなことであれば一緒に共創できるかということをしっかりと世界に向けて発信していく必要があると考えています。

また「バーチャル万博」として、外側から見える、体験できるという施策も開発中です。
例えば通訳・翻訳に関しては、実は今回の企画のひとつであるデジタル万博の中で自動翻訳システムというものがあります。AIの翻訳システムを私たちも日々使うことがありますが、それらを使うことによって以前よりも随分コミュニケーションを取ることがスムーズになってきました。

その一方で「人の判断」はとても重要だと感じています。例えば人の表情やちょっとした間の取り方で、同じことばでも異なる判断が必要になることはよくあることだと思います。

最後はやはり人の経験と判断がとても大きな要素だと思います。
この万博が、AIと人が連携してどのようにコミュニケーションをしていくのか、という実験場になることを期待しています。

万博における通訳・翻訳の必要性

――通訳と翻訳に関するお話がありましたが、サイマルではこれまでも万博の準備段階から色々なお手伝いをさせていただきました。今後、開催までの準備期間や万博期間中にはどのような語学ニーズが発生すると予想されますか。

恐らく相当の需要があり、参加国にとって通訳は必ず必要になってくると思います。プロの方、ボランティアの方含めてですね。大会期間中も各国はナショナルデーなど色々なイベントを予定していますので、その場でも通訳は必要になってくると思います。

翻訳に関しては開催が近くなってくるにつれて時間との戦いになると思いますので、継続してお任せできる専任の方にお願いするのがベストかもしれないですね。期間中は、毎日プレス向けに発信も予定していますので、英語で記事を書くライターさんのような方も必要かもしれません。

万博に携わる通訳者翻訳者へのメッセージ

――万博に携わる通訳者翻訳者へ期待すること、メッセージがございましたらお願いします。


万博は半年間という長期にわたって開催されますので、万博ならではの密な経験が出来ると思います。画面越しではなく、リアルに毎日いろいろな国の方がいらっしゃる場を実体験できるのは非常に大きいと思います。過去の万博で、ある国の通訳を担当した方が、過去の経験から、今でもその国とつながっているという話を聞いたことがあります。ご自身が担当する国のアンバサダーのような経験ができますし、生涯を通じたネットワークのようなものを築けるかもしれません。また、各国の展示も分野が広く多岐にわたりますので、万博の通訳・翻訳を経験することによって色々な分野に出合えると思います。

今回は、コロナが落ち着いて、初めてみんなが一緒に集う万博です。コミュニケーションというものが、ものすごく重要なポイントになると考えています。ぜひ、人と人をつなぐコミュニケーション、世界をつなぐコミュニケーションという観点で活躍していただきたいです。

――サイマル・インターナショナルのミッションは「Linking People and Countries」です。まさに人と人、国と国とが理解し合うことを願い、言葉のプロフェッショナルとして万博に携わる方々の国際コミュニケーションをサポートし、万博の成功に貢献したいと考えています。本日はありがとうございました。

 

 

独立行政法人 国際交流基金
吉村佐知子(よしむら さちこ)

公益社団法人2025日本国際博覧会協会の広報・プロモーション局 上席審議役 兼 海外コミュケーション部長。東京都出身。1988年上智大学文学部英文学科を卒業し、同年に独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)に入構。海外情報の収集と提供、中堅中小企業の海外展開支援業務に従事し、米国ロサンゼルス事務所長として赴任等を経て、2022年9月から同協会に出向し、現職。

サイマル「大阪・関西万博」プロジェクトチーム

2025年開催の「大阪・関西万博」を盛り上げるべく結成されたサイマル・グループ横断チーム。関西支社のメンバーが中心となり、万博の成功に向けて、語学面から多岐のサポートを実施中。

 

【大阪・関西万博】詳細は公式サイトをご覧下さい

 

 

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