CAISとは
まずTOBISについてお話しする前に、検定を主催する「CAIS(通訳技能向上センター)」について簡単に説明したいと思います。
CAISは、通訳技能向上センターの英語名である「Center for the Advancement of Interpreting Skills」の頭文字を取った名称で、「カイス」と読みます。2004年、通訳者や通訳を学習中の方のスキルアップを通じて社会貢献することを目的に、サイマル・インターナショナルが設立に協力したNPO法人です。初代の理事長はサイマル創設者の一人でもある小松達也さんで、設立当初から理事長を退任なさるまで、TOBISの運営に深く関わってこられました。
TOBISの概要について
ここで、本題であるTOBISについて詳しくお話ししていきます。TOBISは、ビジネス通訳検定の英語名である「Test of Business Interpreting Skills」の頭文字を取った名称で「トービス」と読みます。企業や団体等でのビジネスの現場において通訳業務(英語→日本語、日本語→英語)を行うために必要なスキルを測る試験です。2005年に第1回を実施して以来、2020年に15周年を迎えました。これまでに延べ1,500人余りの方が受験され、多くの方が通訳の現場で活躍しています。
試験内容・受験対象
逐次通訳試験と同時通訳試験の2つの試験があり、成績に応じて1級~4級を判定します。逐次通訳試験は2~4級判定試験、同時通訳試験は1級判定試験で、4級の基準に達していない場合は不合格となります。いずれの試験も実際のビジネスシーンを想定したトピックで、現場に即した実践的な通訳スキルを測ることができます。
判定内容
各級で判定される通訳スキルの目安は下記の通りです。
開催日程
以前は大阪、東京の会場で実施していましたが、現在は原則オンライン(interprefy使用)で実施しています。日程の詳細は、試験日の約2か月前、CAISの公式ウェブサイトに掲載する受験要項をご確認ください。
受験を検討している皆様へ
「英語力がある=通訳スキルがある」ではありません。通訳には「英語力」はもちろんですが、「聞いた内容を理解し、相手にそのメッセージをわかりやすく伝える力」「トピックの背景となるビジネス知識・時事知識」「表現力」などの様々なスキルが必要とされます。TOBISでは、これらを総合的に評価し、受験者の弱点や補強するべきポイントをフィードバックしますので、受験者は今後の学習の指針に役立てることができます。
「自分の現状の通訳スキルを客観的に判断してほしい」「弱点や足りない部分を具体的に知りたい」「よりレベルアップするための指針が欲しい」などとお考えの方に、是非一度TOBISを受験いただきたいと思います。
昨今AIの発達により、通訳も人間を必要としなくなるのではという懸念をお持ちの方も多いと思います。確かに、観光やコミュニティの現場では機械による通訳が普及していますが、専門的な話題の多いビジネスの分野でAIが人間を淘汰していくことは、少なくとも当面は不可能だと考えています。上述の通訳に必要なスキルの内、特に「聞いた内容を理解し、相手にそのメッセージをわかりやすく伝える力」は、人間だからこそ持ちうるのではないでしょうか。
TOBISを受験される方の多くは、会社員もしくは派遣社員で通訳を行う方、フリーランス通訳者、現在学校に通って通訳を学習中の方など何らかの形で通訳に携わっています。CAISは、TOBISを通じてこのような方々のスキルアップ、モチベーションアップのお役に立ち、通訳業界発展の一助になることができればと考えています。TOBISをぜひご活用いただければ幸いです。
■試験日程などTOBISの最新情報や詳細はオフィシャルサイトでご確認を
CAISは、株式会社サイマル・インターナショナルの協力により設立されたNPO法人です。通訳業界に関わる全ての方々の満足度向上と業界全体の発展に貢献することを目的とし、TOBIS(ビジネス通訳検定)の運営を行っています。
・公式サイト:https://www.cais.or.jp/
・TOBIS公式サイト:https://www.cais.or.jp/tobis/