「同時通訳を行うには、通訳者のほかに機材が必要」ということはご存知の方もいらっしゃるかと思います。しかし、実際にどんな機材が必要で、どのように手配し、会場に配置するのかなどは、イメージがつかない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、同時通訳案件を多数手がける営業部・通訳営業課スタッフが、その種類と特徴をわかりやすくご紹介します。
はじめに
同時通訳機材とは、基本的に通訳音声を聞くためのレシーバー、通訳者が業務するための通訳者ブース、会場音声を通訳ブースに届けるための機材一式のことを指します。実は一口に同時通訳機材といってもいくつか種類があるため、私たちサイマルでは、イベント規模や会場場所などによって最適なご提案をしています。
同時通訳システムの種類と特徴
まず、通訳音声の伝達方法には3つの種類があります。
赤外線システム
赤外線を使用して通訳音声を伝達します。会場内にラジエーター(発光パネル)を設置することで、壁などの遮蔽物を透過せず会場外への情報漏洩を防ぎ、クリアな音声をお届けします。
このような案件におすすめ:
- 機密性の高いイベント
- 分科会など同一会場で複数の部屋を利用するイベント
- 4言語以上の複数言語が必要なイベント
※赤外線を遮断する可能性のある会場(壁一面が黒色、ガラス張り、会場機器に赤外線リモコンを使用しているなど)の場合はご相談ください。
FMシステム
FM電波を使用して通訳音声を伝達します。会場内に簡易ラジオ局を設置するようなイメージです。屋外や大規模展示場など、ラジエーターの設置が難しい会場でもご利用いただけます。
このような案件におすすめ:
- 屋外や大型展示場でのイベント
- ラジエーターの設営が難しい会場でのイベント
- 赤外線よりもリーズナブルに利用したい場合
※同一会場で最大3言語までのご利用が可能です。高層階、港、高速道路の近くは電波干渉のリスクがありますのでご相談ください。
簡易システム
300MHz帯域の電波を使用して音声を伝達します。赤外線システムやFMシステムと比較するとよりリーズナブルにご利用いただけます。
このような案件におすすめ:
- 小規模イベント
- 赤外線システムの利用が難しい会場
- ご予算が限られているイベント
※同一会場で最大3言語までのご利用が可能です。100台以上のご利用には音声にノイズが入る可能性があります。
※高層階、港、高速道路の近くは電波干渉のリスクがありますのでご相談ください。
3システムの特徴をまとめると、以下のようになります。
※あくまで一般的な案件の場合です。実際の案件内容や条件によって異なることがあります。
通訳ブースの種類
通訳ブースには2種類のご用意があります。イベント規模や会場の設営スペースに合わせてご提案しています。
フルサイズブース
防音に優れた小部屋タイプのブース。扉の位置はレイアウトにより自由に変えられます。設営には2m四方のスペースが必要です。
ポータブルブース
180×60cmの長机に据え置き可能な簡易型ブース。防音・遮音効果は低くなりますが、設営スペースが限られている場合におすすめです。
音の伝達の仕組みや通訳ブース内の様子の詳細については下記記事をご参照ください。
ご依頼に際し、お客様にお知らせいただきたいこと
さて、サイマルではお客様の通訳案件に最適なご提案を行うため、同時通訳機材のご依頼に際して、下記のような内容を確認させていただいています。外部会場をご利用の場合は、会場ご担当者様をご紹介いただきましたらサイマルから直接確認することも可能です。
レイアウト
通訳ブースの設営場所やエンジニア操作卓の配置場所を確認するため、レイアウト図をご提供ください。
設営撤去可能な時間
本番時間のほかに、機材の設営作業と撤去作業時間を含んだお部屋の確保が必要です。
(例)日本語-英語 100名規模の場合は設営:約2時間、撤去:約1.5時間
※イベントの規模や言語数により異なります。時間が限られている場合はご相談ください。
マイクや音響機材の有無
同時通訳システムはマイクや音響機材と組み合わせて利用するため、発言者にはマイクを通して発言いただく必要があります。
赤外線システムをご利用の場合には、赤外線マイクのご利用があるかを確認します(使用できない可能性があるため)。会場にマイクや音響機材のご用意がない場合はサイマルから持ち込むことも可能です。
会場音声の出力(ラインアウト)
マイクや音響機材を会場でご用意される場合、会場音声を通訳者に届けるためにどこからどのような端子でラインアウトをいただけるかを確認します。
配信の有無
オンライン配信等、通訳音声を会場以外に届ける必要があるかを確認します。配信業者を手配されている場合には音声の受け渡し方法について確認させていただきます。
リハーサルや回線チェックの有無
本番とは別日に通訳者を含めたリハーサルを行うか、音響関係会社との回線チェックを行うかなど、本番以外で機材の運用があるかを確認します。
搬入申請、搬入経路の確認
会場に機材を搬入する際、作業届や搬入申請の届け出が必要か、また搬入経路に指定があるかを確認します。
その他
通訳ブース内とエンジニア操作卓用にそれぞれ長机(180cm×60cm)と椅子のご用意をお願いしています。通訳者が3人以上の場合は通訳ブースの外に待機席として机と椅子のご用意もお願いしています。
録音をご希望の場合、会場音声(オリジナル音声)・日本語音声(会場の日本語+通訳者の日本語)・英語音声(会場の英語+通訳者の英語)の3種類の録音が可能です。ご希望の場合はご利用用途と併せてお申し付けください。
いかがでしたでしょうか。同時通訳機材は、通訳音声を確実に伝達するための手段として重要な役割を果たしています。今回は同時通訳機材で用いられる主なシステムをご紹介しましたが、このほかにもイベント規模やご予算に応じて様々なご提案をしています。遠方で開催される場合や、会場開催とオンライン開催を同時に行うハイブリッド開催の場合には、遠隔同時通訳のご利用もご検討ください。
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