英語子音の攻略(1)日本人が苦手とする音【英語発音上達のコツ】

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レベルやキャリアを問わず、関心の高い「英語の発音」。英語音声学や発音指導のプロである青山学院大学准教授の米山明日香さんが、上達のコツを詳しく解説します。今回からは3回シリーズで「英語子音の攻略」をテーマにお送りします。

発音の悩みの多くは子音関連

以前、「英語母音の攻略」についてご紹介しましたが、今回は「子音の攻略」に焦点を当てていきます。

そもそも子音とは何でしょうか。音を生成するという観点からすると、子音とは「口の中で何らかの妨害、または干渉が起こることによって作られる音」です。たとえば、/p/ という音は、両唇を閉じて、そこで妨害を作ってから、それをポッと一気に肺からの空気を口の外に吐き出すことによって作ります。

日本人の英語学習者の多くは「“r”や“l”といった子音が苦手である」と思っている傾向にあります。発音関連の講座に参加いただく皆様に発音上の悩みを伺うと「“r”と “l”といった子音がうまく発音できない」とか「“th”の音をネイティブスピーカーに聞き取ってもらえず、別の意味に解釈された」といった子音にまつわる悩みが多いのです。

ここで重要なのは、意味解釈上、聞き手が誤解する場合、単に子音だけが問題で生じるわけではなく、様々な発音上の問題や使用した語句、言い回し、発声方法などとの複合的な理由から誤解が生じるという点です。しかし音声上、子音は重要であることは言うまでもありません。よって本コラム上で効果的な英語子音の攻略法をご紹介しましょう。

日本人が注意すべき子音

英語の子音を訓練する際、どういった子音が日本語を母(国)語とする英語学習者にとって難しいのかを理解してから練習すると効率的です。簡単に言えば、日本人英語学習者にとって、英語にあって日本語に存在しない音が難しいので、その音を重点的に練習するのです。したがって、これらの音が何であるかを理解することが、子音攻略の第一段階になるのです。

具体的には、日本人英語学習者は、以下の子音に注意する必要があります。


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上記の「発音が難しい子音」と「注意が必要な子音」の違いは、前者は日本語にはない英語の子音、または似たような音は日本語にはあるが、その特徴が英語のそれとではかなり異なる子音のことを指します。したがって、これらの音は非常に難しい音と言えます。

一方、後者に関しては、日本語に似たような音はありますが、細かな音声上の特徴が異なります。具体的には“chip”を日本語式に発音すると「チップ」となりますが、“ch” = 「チ」ではありません。英語の場合の /f:id:simul2019:20210312163148g:plain/では、唇を丸めて発音する(これを専門用語では円唇と言います)という特徴と、音を作る位置(妨害や干渉が起こる位置)が日本語のそれとは少し異なる(日本語の方が少しだけ奥で作る)という特徴があります。

このように「注意が必要な子音」を学習する場合、英語と日本語の音声上の相違を正しく理解すると、比較的早く、発音を矯正することができるのです。ただし、こうした細かな音声上の特徴を知らないばかりに、目標となる音声が日本語式に発音されていることが多いというわけです。

次回は、これらの日本人にとって苦手とする発音をどのように訓練するのかということについて、ご紹介していきます。

 

 
 

※この記事は2013~2014年にCAISウェブサイト内『通訳情報ステーション』に掲載されたものです。 

 

米山明日香(よねやまあすか)

青山学院大学社会情報学部准教授博士(文学)。専門は英語音声学、英語教育、発音指導、英語プレゼンテーションなど。大学卒業後、英国University College Londonに留学し、音声学修士号(MA in Phonetics)を取得後、日系航空会社勤務、通訳者、大学講師などを経て現職。公式ブログ:http://blog.livedoor.jp/bihatsuon/

 

 

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