Memsourceの有用性――コーディネーターの視点から

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さまざまな翻訳支援ツールがある中で、サイマルが導入しているMemsource(メムソース)の有用性について2週にわたってお話しします。「どんな利点があるのか?」「実際の使用シーンは?」――翻訳コーディネーターと翻訳者、それぞれの視点からお答えします。

皆さんは翻訳支援ツール(以下、CATツール)をご存じでしょうか。「知らない」「聞いたことがない」という方は、今では少数派かもしれませんね。


一方で、「知っている」という方の中には、機械翻訳(以下、MT)と混同している方がいらっしゃるかもしれません。CATツールとMTは全く別のものです。MTはコンピュータが自動的に原文を訳文言語に置き換えますが、CATツールは翻訳作業そのものを行うのではなく、翻訳作業の「お助けツール」なので、翻訳は人が行います。過去訳データや用語集を参照したり、訳語の揺れをチェックしたりする機能がついていて、翻訳の効率が上がります。

Memsourceとは

Memsourceは、プラハ(チェコ共和国)を拠点とするMemsource社が開発・提供しているクラウド型のCATツールで、2011年にリリースされました。日本翻訳連盟(JTF)の『2017年度翻訳白書』によると、日本では導入している会社数がTrados(SDL社)に次いで2番目に多いツールです。

サイマルがMemsourceを使い始めたのは2016年4月のことです。翻訳者・チェッカーの皆さんにはサイマルから無料でアカウントを貸し出すことができるので、ツールの導入費用をご負担いただく必要がないというのが導入を決めた理由の1つです。

また、工程管理の効率化への期待もありました。複数の翻訳が同時進行で動いていても、それぞれの工程の進捗状況をリアルタイムに把握することができます。文字カウントも圧倒的に簡便で、原稿が100ファイルあっても、まとめて文字数を確認することができます。以前は、1ファイルごとに文字数を確認して集計していましたが、Memsourceを使うことで文字カウントに係る時間を短縮することができるようになりました。

使用するメリット

コーディネーターが考える、Memsourceで翻訳作業を行うメリットをいくつかご紹介します。

1.画面構成(UI)がとてもシンプル

初めてMemsourceを使った翻訳者の皆さんは一様に「使い方が簡単でした」とおっしゃいます。UIがとてもシンプルで、直感的に操作することができます。

2.翻訳作業を行うエディタが見やすい

翻訳は「エディタ」と呼ばれる画面で行います(下図参照)。

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原文が文の区切りでセグメント(Excelのセルのようなもの)ごとに分かれるので、文単位の訳抜けをする心配がありません

エディタを使うといいなと特に思うのは、原稿ファイルがExcelやPowerPointのときです。Excelは、翻訳対象のワークシートがたくさんあったり、長文が1つのセルに入っていて全文を表示するのが困難だったりすることがあります。PowerPointは、テキストボックスが重なって上書きするのが難しいときがあります。

原稿がどのような状態でも、エディタで表示すると見やすくなるので、翻訳もストレスなく行えます

3.翻訳メモリや用語集

過去の対訳データを蓄積したデータベースである翻訳メモリ(translation memory。以下、TM)や用語集(term base。以下、TB)を参照し、翻訳に活用することができます。

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原文にTMと一致または類似する文やTBに登録された用語と一致する語句が含まれていると、Memsourceが自動的に検知して、訳文・訳語を提案してくれます。訳文を入力したいセグメントにカーソルを置くと、上図のようにTMからの候補訳、TBに登録された用語が表示されます。さらに、TMと今回の原文の差分も視覚的に確認することができます。過去訳と同じ文があるときや、クライアントから指定される用語に準拠しなければならないときにとても役立つ機能です。

4.ケアレスミスの確認

原文との数値の不一致やスペルミスなどを指摘してくれる「QAチェック」という機能があります。この機能を使うと、単純なヒューマンエラーを減らすことができます

サイマルでの利用状況

サイマルでは、政治・経済、金融、法律、マーケティング、工業、医薬など、業種・分野問わずMemsourceを利用しています。前述したメリットにもあるように、TMやTBがある大ボリューム案件やファイルが多数ある案件でツールの有用性が発揮されています。

今後Memsourceを使う翻訳案件がますます増えていきますので、ご対応いただける翻訳者・チェッカーを常時求めている状態です

Memsourceは操作が簡単なので、CATツール対応が未経験の方でもすぐにお使いいただけると思います。毎年改訂しているマニュアルもご提供しますので、案件の打診を受けた際には「難しそう」「操作を覚えるのに時間がかかりそう」と考えずに、ぜひ前向きにご検討ください。


[参考文献]
日本翻訳連盟『2017年度翻訳白書』(2018年3月)



翻訳コーディネーター A.N.


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