iDeCoなどで節税しながら資産を増やす【すぐに役立つ金融講座2】

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会社員からフリーランスの通訳者翻訳者になると、仕事上だけでなく、生活面でも色々な変化があります。中でも保険や税金など、金融制度の違いや手続きには戸惑いを感じる人も多いのではないでしょうか。そこで、このシリーズではファイナンシャル・プランナーである戸田博之さんに、フリーランスのための金融知識のキホンを3回にわたって教えていただきます。2回目のテーマは、「節税しながら資産を増やす」です。

まず公的年金を知る

2019年は金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書により、いわゆる「老後2000万円問題」が大きな話題になりました。これがきっかけで、老後の備えについて関心を持つようになった人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、フリーランスで働きながら、老後に備える方法について考えてみたいと思います。

老後の収入の柱になるのは、まず公的年金です。国の年金制度は2階建て制度と言われており、20歳以上60歳未満で日本国内に居住するすべての人が加入する国民年金と、民間企業で働く人や公務員、私学教員(被用者)が加入する厚生年金の2つの制度があります。民間企業に働く人や公務員、私学教員が原則65歳になると、国民年金制度から老齢基礎年金、厚生年金制度から老齢厚生年金の2種の公的年金が支給される2階建システムとなっています。

一方、フリーランスの場合は、老齢基礎年金のみの支給です。(ただし、フリーランスになる前に被用者であった期間があれば、その期間内の報酬に応じた老齢厚生年金が65歳以降に老齢基礎年金に上乗せして支給されます。)リタイア後の生活を考える時には、まずこの公的年金がいくらになるかを大まかにつかんでおくことが大切です。

※年金の2階建て制度についてはこちらも参考に


そのために、まず利用したいのが、毎年、誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」です。この「定期便」を見ると、おおよその年金収入を予測することができます。一度、近くの年金事務所を訪れる、あるいは専門家である社会保険労務士やファイナンシャル・プランナーに相談して見方を理解しておくと、リタイア後の生活設計をする上で、大いに役立ちます。

公的年金ではいくら不足するか?

公的年金に関する見通しができたら、次はリタイア後にどのくらいのお金が必要になるか、特に毎月の支出がどのくらいになるかを予測してみましょう。

不足する額=公的年金受給予測額-毎月の予想される支出額

 

課題は、この不足分を補うのに十分な資金を準備することです。この要準備額が2000万円くらいになるのではという平均像を示したのが例の報告書だったわけです。したがって、個々人あるいは個々の家庭で必ずしも2000万円が不足するわけではありません。あくまでも個々の状況に応じたライフプランを立て、対応を考える必要があります。

税制優遇のある準備方法がお勧め

皆さんの中には、保険会社が提供する個人年金保険や銀行での積立預金などをお持ちの方、証券会社などで積立型投資信託に入っている方がいるかもしれません。これらはそれぞれリタイア後に備える金融商品として提供されているものではあります。しかし、こうした商品は、利益が発生するたびに税金がかかってしまいます。

そこで注目したいのが、フリーランスなど個人事業主のための税制優遇措置を付加した老後資金準備のしくみです。具体的には、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」国民年金基金です。

iDeCoと国民年金基金は3重の税制優遇措置がある

どちらの制度も、原則60歳まで毎月、退職後のための積立を行う制度です。しかし、銀行などで積立預金を行う場合とは異なり、3つの税制優遇措置が備わっています。

1.掛け金(拠出金)が所得控除になる

毎月、片方の制度のみに加入する場合は月額6万8千円、両方に入る場合は合計で月額6万8千円まで積み立てることができます。この積立金は「掛け金」あるいは「拠出金」と呼ばれますが、これらはすべて税制上の所得控除となります。つまり、掛け金を行った分だけ、課税対象となる所得が減るため節税になるのです。これは、他の金融商品にはない大きなメリットです。

2.投資収益が非課税になる

一般に、金融商品を購入し、そこから利益が発生した場合は、約2割の源泉徴収税が差し引かれます。しかし、iDeCoで利益が発生した場合は、利益に対する課税は行われません。つまり、利益が元の元本に上乗せされてさらに投資される(再投資)ので、長年の積立を行う場合は、この制度を利用するか否かによって最終積立額に大きな差が発生します。

3.受取金が控除の対象になる

国民年金基金では原則65歳から、iDeCoでは原則60歳から受取を開始できます。国民年金基金では年金のかたちで、iDeCoでは年金あるいは一時金のかたちで受取可能となります。この両制度からの給付については、どちらも税制優遇措置が適用されます。

まず年金で受け取った場合は、老齢基礎年金、老齢厚生年金、そしてこれら制度からの受取年金の総額に対して控除の対象となります。つまり、これら合算額のうち一定額までは非課税になるという優遇制度です。現在の税制では、受給時の年齢が65歳未満の場合は年間の受取総額が70万円以下、65歳以上の場合は120万円までは非課税となります。

また、iDeCoから一時金を受け取った場合は退職所得控除の対象となり、こちらも一定額までは非課税になります。具体的には加入期間が20年以内の場合、加入1年につき40万円、20年以上の場合、1年につき70万円の非課税枠があります。


20年間加入の場合:40万円×20年=800万円
30年間加入の場合:40万円×20年+70万円×(30-20)年=1500万円 が非課税枠

しかも、課税額は実際に受け取る一時金の額から、非課税枠を引いた額の半額に税率を掛けたものですので、きわめて大きな優遇措置と言えるでしょう。

公的年金の上乗せも可能

この他、65歳以降受給する公的年金(フリーランスの期間しかない場合は、老齢基礎年金のみ)の額を増やす方法もいくつかあります。ひとつは任意加入制度です。本来60歳までの加入期間を65歳まで延長し、5年間保険料を支払い続ければ、その期間に応じて年金額が増額されます。大まかに言えば、1年延長するごとに年金受給額が年額で2万円増えることになります。つまり、65歳まで加入すれば10万円(月額で8千円程度)の増額となるのです。

また、付加年金という制度もあります。これは定額の国民年金保険料に毎月400円上乗せして払うことで、200円×掛けた月数分が65歳から受給する老齢基礎年金額に付加されるしくみです。


40歳から65歳まで400円を上乗せして支払う場合
200円×12ヵ月×25年=6万円 ⇒65歳から支給される年金額に6万円が上乗せされる

つまり、2年間受給すれば、支払った保険料の元は取れるというお得な制度です。
任意加入や付加年金は、お住まいの市区役所や町村役場で申し込みできます。気になった人はぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

戸田博之
戸田博之(とだひろゆき)

住友銀行(現三井住友銀行)国内外勤務、米国での独立業務展開を経て、米系運用会社、外資保険株式会社で金融トレーニングのプロとして活躍。同時に金融商品の選び方や社会保険と金融商品の関係など独自コンテンツを持つ講師としても講演活動を展開。現在はオフィス エイ・エイチ代表。DC(確定拠出年金)プランナー、ファイナンシャル・プランナー。

 

 

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