サイマルの通訳を選ぶ理由 :公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)

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全国に多数存在する通訳会社の中から、企業や団体の皆さまは、何故サイマルの通訳サービスを選ばれるのでしょうか。今回は、長年にわたりサイマルの通訳サービスをご利用いただいている、公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)広報戦略課長の矢野純一さんにお話を伺いました。FPCJの活動内容や、通訳者への思いなどと共にお届けします。

FPCJの活動について

――貴センターの活動内容について、簡単にご紹介いただけますでしょうか。

矢野(敬称略):私共FPCJの主な活動は、日本を取材する外国メディアに、取材に役立つ情報や、取材の機会を提供することです。彼らに日本の情報を海外に向けて正しく伝えてもらうことが目的で、専門家や政府関係者の方をお招きしたプレス・ブリーフィングや、日本各地へのプレスツアーを企画・実施しています。

――プレス・ブリーフィングとはどのようなものでしょうか。

矢野:主に外国人特派員(プレス)を対象にした講演です。当方の会見室に講演者(ブリーファー)の方がいらして、最大40~50人の記者を対象に講演をしていただく。外国人に向けて日本人が講演しますので、そこで通訳が必要になります。ブリーファーの方がその時々のテーマに関して、背景や何が起こっているかを解説するんです。最後にプレスからの質疑応答があります。

――どのようなテーマが多いのでしょうか。

矢野:テーマは政治経済、外交、社会問題、文化、科学技術などで、海外のメディアで話題になっているものを取り上げていますが、最近はコロナ関係がほとんどですね。対コロナ対策のほか、コロナ禍での経済、社会の変化、東京一極集中の是正、地方活性化などの硬い話題から、人々の生活に直接関係する、住まいの変化など――例えば、これまでは住むなら狭い家でも駅から近いのが便利っていう風潮があったと思いますけど、最近はリモートワークも増えて、郊外でも広くて落ち着いた環境を求める、そんな流れがあります。そのような、少しソフトな話も取り上げたりします。

――ブリーフィングのテーマや内容はFPCJ様で検討されるのでしょうか。

矢野:そうですね、テーマありきで人(講演者)を探すこともあれば、こういう人がこんなことを言っていた、ということでその方にお願いすることもあります。今年は戦後(被爆)75年という節目の年ですので、長崎市長や広島の被爆者の方などにも登壇いただき、核兵器廃絶への思いなどを世界に発信していただきました。

――その時々の最新のホットなトピックを提供されているのですね。続けて、プレスツアーについてお聞かせください。



矢野:在日特派員のほとんどの方が東京在住ですが、FPCJで日帰りか1泊2日の取材のプログラムを組んで呼びかけるんですよ。複数のテーマと取材先を決めて、ツアーを企画します。例えばテーマは、少子高齢化対策など様々な課題への取り組みとか、地域の特色ある産業、伝統文化の継承、インバウンド促進など地域の特徴のある分野などですかね。外国人記者にとっては言葉の問題もあるし、自分で取材の手配は大変ですのでプレスツアーは好評です。事業は、地方自治体から受託するケースが多いですね。先方の希望を聞きながらFPCJでツアーを企画、記者を集めて、同行して、どういう報道になったかのフォローアップまでパッケージで提供します。

――北海道から沖縄まで幅広く取材されていらっしゃるのですね。地方にとっても良いPRになるのではないでしょうか。

矢野:確かにそうだと思います。昨年はオリンピックを踏まえてPRしたい地方が多かった。FPCJは来年(2021年)設立45周年なんですけれど、4年前の高知県へのツアーで、ついに47都道府県制覇しましたよ(笑)。

――全国制覇ですか! 記者はどの国の方が多いのでしょうか。


矢野:日本で活動しているのは30か国位のメディアで、欧米、アジアが中心です。具体的には、欧州はイギリス、フランス、ドイツ、スペイン、アジアは中国、韓国、台湾、シンガポール、ベトナム、などでしょうか。

――英語を母国語としない記者に対しても、日本語、英語での通訳で対応されるのでしょうか。


矢野:記者は英語、日本語どちらかはできるんです。特に、中国、韓国、台湾の記者は日本語が堪能な方が多いです。

 

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小池東京都知事によるプレス・ブリーフィング(2019年7月)。隣が長井鞠子さん。

コロナ禍で通訳をする課題

――コロナ禍において、活動のしかたにどのような変化がありましたか。

矢野:3月から5月途中までほとんど活動ができない状態が続きました。ブリーフィングは、5月途中からZoomを使ったオンラインになりましたね。司会者のみ当方の会見室で対応しますが、ブリーファーの方、通訳者、記者の方はそれぞれ別の場所にいます。参加者は、記者以外にも大使館関係者や賛助会員の人もいます。

 

オンサイトだと東京近郊にいないと参加しにくいですが、リモートだと遠方に住んでいる人も参加できるというのはメリットですね。私たちにとっても発信できる先が広がったのは良かったと思っています。

プレスツアーに関しても3月のツアーはすべてキャンセル、7月途中まで一切できませんでした。7月に試験的に2件実施、参加プレスの人数も普段より少なくして、マスク着用、体温測定を必須とするなど感染防止対策を取って実施しました。とはいえ、取材先の受け入れの問題もありますし、記者も皆さんリモートでの仕事が中心で、参加しにくい人はいますね。「現場」に取材にいくことに意味があるので、状況が許せば現地の生の声を聞きたい気持ちは皆さんあると思いますよ。

ブリーフィングだって、現場にいれば、ブリーファーと直接言葉を交わせますしね。会見場でやれば質疑応答で直接聞けなかったことを、名刺交換でもしながらちょっとその場で話したりできます。でもオンラインだとこれは難しいですよね。

――現場でブリーフィングを実施されていたとき、サイマル・アカデミーでは、受講生が通訳現場を体験できるように、希望者にFPCJさんのブリーフィングを見学していただくサービスを実施していました。私も、事務局としてオリンピックの準備段階のブリーフリングを見学させていただきましたが、記者の方々の熱意がすごいと感じました。もっと聞きたいという……。

 

矢野:そうですね、オンラインだと、現場の温度感や熱量まで伝えるのはなかなか難しいですよね……。オンラインのメリットはありつつも、限界もあると思います。

 

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福島県へのプレスツアー(2020年2月)。
写真中央、外国人の横で通訳しているのがサイマルの専属通訳者・佐藤祐大さん

コミュニケーション能力の高さが、通訳を使い続ける理由

――最近のお仕事の変化の中でも、FPCJ様には通訳を継続していただきありがとうございます。サイマルの通訳サービスを使い続けていただいている点は、どこにあるのでしょうか。

矢野通訳者のクオリティがとにかく高い、というのが理由です。しかも、片寄りなく、どの方も皆さん高いスキルをお持ちなので、安心しておまかせできます。担当コーディネーターの方も、毎回スムーズにアレンジしていただいているので、大変助かっています。

――ありがとうございます。これまでで印象に残っている案件はありますか。

矢野:これまでほとんど困ったことやハプニングはなく、順調に進んでいます。プレスツアーで、20年以上前の話ですけれど、国政選挙の時、党首について遊説の様子を取材したことがあったんです。当時、長井鞠子さんが通訳をしてくださいました。自民党、野党第1党……当時は社会党の土井たか子さんでしたが、党首たちが遊説をしている様子を取材しました。関東近郊へ、日帰りでバスで行けるところに取材に行って、候補者や応援に来た党首の演説をウィスパーで通訳してもらった。かなり周りの音がうるさくて、通訳者とツアー参加者との距離もあるし、決して聞きやすい環境ではなかったんです。そんな時に東京に向かう帰りのバスの中で、長井さんが、演説で候補者や党首が何を話されていたかを30~40分位まとめて英語で話してくださった。メモもない状況であったろうに、内容をサマライズして話してくださった、もう「神」でしたよ(笑)。

――お役に立てて良かったです。

矢野:その他のエピソードとして、以前、復興大臣に東日本大震災の復興状況を聞くブリーフィングで同時通訳を使ったんですけれど、同通の機材の調子が急に悪くなったんです。会場もざわめく中、対応されていた通訳者の方が、あたふたする事務局をしり目に「逐次に切り替えましょう」と即座の判断で壇上にさっと上がって、何事もなかったように通訳を続けてくださった(笑)。通訳の質が高いだけでなく、何があっても慌てず冷静な方が多いと感じます。

――ありがとうございます。通訳者の現場対応力は、数々の案件をこなしてきた経験ならではかもしれません。プレスやブリーファーからのコメントはありますか?

矢野:通訳については、素晴らしかったというコメントをよく頂いています。英語でブリーフできる方からも、スキルの高さに驚いたというコメントを何度か頂いたこともありました。英語力のみならず、トピックの理解度がすごいんですよ。ブリーファーの専門性の高い話でも自分で完璧に消化していて、通訳して伝える能力には敬服します。プレスの質問も、日本語さえわかりづらいこともあるんですけれど、言いたい内容をうまくくみ取って通訳されているのが素晴らしいと思います。言葉だけ勉強すればいいのではなく、総合的な知識とコミュニケーション力の高さが必要だなあと。

――コミュニケーション力が必要、おっしゃる通りだと思います。FPCJ様の業務のような、まだ記事になる前の最先端の話題に触れられることは、通訳の仕事の醍醐味かもしれません。

矢野:長井さんは通訳されるとき、まるでその人が話しているかのように通訳されることがあります。その人になりきっているというか。長井さんはじめ、よくお願いする数名の通訳者さんたちがいらっしゃいますけれど、僕は皆さんのファンです(笑)。

――ありがとうございます。最後になりますが、今後、通訳者に期待することがあればお聞かせください。

矢野:これ以上望むことはありません。毎回満足できるパフォーマンスをしてくださる。通訳をする上で、オンラインは難しい面もあると思いますけれど、こちらも環境を整えておきますので、引き続きよろしくお願いします。

 

矢野純一(やのじゅんいち)

公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)広報戦略課長。
最初に担当したプレスツアーは、入社した1988年の秋に実施した北海道プレスツアー。牛肉輸入自由化議論の最中に、十勝の農家などを訪ねた。
翌89年の1月に「昭和天皇崩御」のニュースが世界を駆け巡り「大喪の礼」で世界中のメディアが東京に集結した際には、都内ホテルに設置されたプレスセンターで、多種多様な問い合わせに対応した。

■公益財団法人フォーリン・プレスセンターのオフィシャルサイト

 

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