55周年の始まりに、あらためてサイマルの話をしよう【サイマル通信 特別編】

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通訳・翻訳業界で働くサイマルのスタッフがお届けする「サイマル通信」。エージェントの視点で、業界にまつわる話題や、スタッフの仕事など、好奇心をくすぐる話題をあれこれご提供します。今回は、林純一社長が、55周年を迎えるサイマル・インターナショナルやトップクラスの通訳者・翻訳者への思いなどを語る特別編です。

2020年、おかげさまで創立55周年

2020年、おかげさまでサイマル・インターナショナルは、創立55周年を迎えることができました。1965年の創業以来、官公庁・民間企業・国際団体含め数多くのお客様に支えられて今日に至りました。誠にありがとうございます。

周年といえば、昨年は1969年のアポロ11号月面着陸から50周年の年でした。人類史上初めて月面から届く宇宙飛行士たちからの言葉をサイマルの創業者たちが各局のテレビで同時通訳したときに、この同時通訳者という職業が世の中に知れ渡ったと聞いています。

当時8歳の私もワクワクしながら中継ニュースを見ていたひとりでした。外国の言葉が話されると同時に日本語に訳されていく、そのすごさを気に留めることもなく。プロフェッショナルな仕事の多くがそうであるように、その技術の高さはわかる人にはわかるのに、受け取る一般の人々には、あまりに自然で、技術はおろか存在すら意識されない、そういう職業なのかもしれません。

トップクラスの通訳者・翻訳者と接して

私は、縁あってこのサイマルの社長になり、一流の通訳者・翻訳者の方々と関わる機会をたくさん持てるようになりました。ということで、昨年新しく始まったこの「通訳・翻訳ブック」の中で、私が感じた、トップクラスの通訳者・翻訳者の皆さんのことを少し書いてみたいと思います。

まずは通訳者さんのことから。言われてみれば確かにな、とは思うのですが、2017年に着任して一番驚いたのは、通訳者の皆さんのものすごい事前準備でした。連続して受けている仕事ならまだしも、初めて会う人の言葉を聴いて、違う言語の、これまた初めて会う人に伝える仕事です。その両者が初対面ということも少なくありません。「〇〇語を△△語に訳して話す仕事」とは全く違うということを最初に知りました。「話し手が伝えたいことを、違う言語の聴き手に伝えて、話し手・聴き手の意図を全うする仕事」だったわけです。だから、その会議の目的、当日の流れ、当日までの議論の経緯から、会議参加者のプロフィール、その関係性、そして会議に出てくる特殊な単語、言い回し……。会議参加者がその会議に向けて認識すべきことのすべてを通訳者は頭に叩き込んでおかないといけない。それが毎日だと思うと気が遠くなりそうです。会議によっては相当前から準備を始めると聞いています。提供された資料では足りず、自分で調べることも結構あると。

今なら、「たった2、3時間の通訳の通訳料がそんなにするの?」というお客様のご不満には私は自信をもってお答えできますね。

次に翻訳者さんのこと。例えば自分が書いた文章をいい翻訳者さんに翻訳してもらうと、元の文章ではなく、書き手の意図に立ち戻って再現してくれることを感動と共に知りました。「ほー、そう表現するのか」の塊のような作品になります。上手な翻訳者さんは書き手の意図を元の文章から上手に汲み取ってくれます。

通訳同様、翻訳も「書き手が伝えたいことを、違う言語の読み手に伝えて、書き手・読み手の意図を全うする仕事」だなと感じました。とは言え翻訳は多くの場合、その場で読み手の反応を確認することができませんし、読み手が不特定多数であることも多いでしょう。言語に対する理解、歴史や文化に対する理解を前提にしても、翻訳者という仕事に就く方々は、すごい想像力の持ち主だなと思います。

これからの新しい通訳・翻訳サービスのために

仮に通訳や翻訳というのが「〇〇語を△△語に訳す仕事」なのであれば、別に準備など用語調べぐらいでも通訳者・翻訳者の皆さんの語学力なら十分にできるのでしょう。でも、プロの、一流といわれる通訳者・翻訳者ってそうではないですよね……と思ったときに、今話題のAI・機械通訳のことを考えました。前職でCIOをやっていた時期もあり、AI適用に関してはある程度の知見もあります。現段階の商業ベースのAI・機械にできると言われているのは、この「〇〇語を△△語に訳す」レベルです。確かにこれならできると思います。一方、人間がやるように案件ごとに事前資料などの情報をインプットしてAIをチューニングするのでは採算が合うと思えません。とは言っても情報技術は、業務コーディネーションのプロセスにおいて、また通訳者・翻訳者の皆さんの道具としては今後さらに有用に、使いやすくなっていくのは間違いないので、積極的に活用していきたいと思っています。

55周年の今年は記念すべき国際的イベントがあります。これを機会にさらに日本の国際化がステージを変えて進化することを期待しています。サイマル・インターナショナルは、この55年間クライアントから頂いた機会に先輩諸氏が積み重ねてきた経験と、高度なテクノロジーを融合して、新しい通訳・翻訳サービスの形を創造していきたいと思います。今年もよろしくお願いいたします。


株式会社サイマル・インターナショナル
代表取締役社長  林 純一