試してみよう! 数字の通訳:後編(練習動画付き)

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「試してみよう!数字の通訳」後編では、数字をスムーズに訳出するためのコツと、練習方法についてご紹介。今回は、桁の多い数字が入った文章を通訳できる動画付きです。

数字訳出のスキルの習得のコツ。「慣れ」こそものの上手なれ!

【まずは前編のおさらいから】


今さらですが、まずは以下の4つを駆使してください。

1,000=thousand」「100万=million」「10億=billion」「1兆=trillion」

続けて、以下の3つについても、確実にスムーズに口をついて出てくるように練習して、無意識に使えるボキャブラリーにしてください。慣れないうちはメモにして常に手元において、通訳中にいつでも参照できるようにすることをお勧めします。

10万=100 thousand」「1億=100 million」「1,000万=10 million

ここで「point」という便利な言葉があります。例えば以下の通りです。

  • 150万        =  1.5 million(one point five million)
  • 563億4,000万  =  56.34 billion(fifty-six point three four billion)

「point」以下の桁数があまり多くなると、聞いた人がわかりにくくなるのでお勧めしませんが、「point」以下が1、2桁のときは便利な方法です。「563億4,000万」の場合、「fifty-six billion three hundred forty million」よりも訳しやすく、また、聞き手にとっても理解しやすいと思います。


特に、聞き手が数字や財務に慣れた人の場合は多用できる方法です。56.34 billionを日本語に通訳する場合は少し練習が必要ですが、これも「one billion=10億」が無意識に身についてくると、難なく訳出できるようになると思います。

 

数字を通訳する際に、事前に数字の入った資料が手に入ることがあります。その際まず、数字の単位が1,000なのか、100万なのかを確認してください。それから、数字に1,000の位ごとにコンマをつけて、それぞれのコンマの単位を書き込むのです。以下、お勧めの方法を紹介します。

 

<例題>右の数字を英語に訳してください。  5430200(単位:千円)

(1)単位は1,000であることを確認し、数字を1,000単位に区切ってコンマを入れます。5,430,200となります。

(2)それぞれのコンマの単位を書き込みます。単位は1,000ですから、例えば、右端の0の下に「T」(Thousand)、430の後のコンマの下に「M」(Million)、5と4の間のコンマの下に「B」(Billion)と書いておく。以下のような感じです。

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こうすれば、通訳するときに"five billion four hundred thirty million two hundred thousand yen"と容易に表現できます。

 

逐次通訳の際は、数字を聞いてもすぐにそれを頭で反対言語に置きかえないようにしましょう。日本語の時は日本語で、英語の時は英語で、聞いたままその数字をメモにとって、通訳する時に反対の言語に置きかえる作業をしてください。聞いた途端に数字の置き換えを考え始めると、慣れないうちは他の情報を聞き逃してしまう可能性が大きいからです。同時通訳のときも、数字が出てきたらメモを取るとよいでしょう。

数字訳出の練習法。「置きかえ」を日常のツールに!

数字の練習といえば、無味乾燥なように思われるかも知れません。しかし、日常生活の一部にする、というのはどうでしょうか。次の例題に英語で答えてみてください。

38億5,000万ドルは日本円でいくらですか。(1ドル=100円)

38億5,000万ドル=$3.85 billion
$3.85billion × 100 =385 billion Yen (3,850億円)

 

単価1,000円の製品を538万個売ったときの売上を、英語で答えなさい。

538万=5.38 million
5.38 million ×1,000 =5380 million
1,000単位に区切る。→ 5と3の間にコンマを入れて、5,380 million
コンマの単位はbillionなので、5.38 billion(five point three eight billion) yen(53億8,000万円)

 

頭の中だけで暗算でやってみてください。このような思考の習慣を日頃の生活に取り入れれば、数字の「通訳」いや、「置きかえ」も生活の一部になってくるでしょう。

 

数字の通訳練習ができる動画です。ビジネス場面を想定した文章を英語/日本語にそれぞれ訳出してみましょう。前回の動画と合わせてご活用ください。

数字の通訳【実践編】(英語から日本語) 視聴時間:約14分

 

数字の通訳【実践編】(日本語から英語) 視聴時間:約14分

 

かく地茂
かく地茂(かくちしげる)※「かく」は山かんむりに各

サイマル・インターナショナル専属通訳者通訳者養成学校にて学んだのち、モントレー国際大学にて通訳スキルを更に磨く。1989年よりプロ通訳者として科学技術、エネルギー、国際関係と、幅広い分野で活躍中。CAIS(通訳技能向上センター)の理事も務める。

 

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