【サイマルと私 #4】縁と矜持と好奇心

サイマル・インターナショナル創業60周年企画】社員が「私にとってのサイマル」を紹介する当シリーズ。最終回では、取締役で営業部ジェネラルマネージャー(GM)の林聖子(しょうこ)さんが、入社からの日々を振り返ります。

語学と言えばサイマル

――林さんとサイマルとの最初の出合いはいつですか。

林さん(以下、林):中学生の時です。英語の家庭教師をしてくれていた大学生のいとこから「英語を勉強するならサイマル」という話を聞きました。彼女はサイマル・アカデミーにも関心があった様子で、TK(小松達也さん)※1 の本もたくさん持っていました。

その後も、友人に誘われた講演会の講師がMM(村松増美さん)2 だったり、面白そうだなと思って読んだ本が偶然サイマル出版会※3 のものだったり、前職でサイマルに通訳を依頼していたり……。ほかにも「あれはサイマル通訳者だったのね!」とサイマル入社後に判明したことも多々あり、振り返ってみると、色々な形でサイマルとの見えない縁があるのかなと思います。

――サイマルにはどんなきっかけで入社されたのですか。

林:転職先を探していた時、新聞で通訳コーディネーターの募集広告を目にしまして。人と人をつなぐことがとても好きでしたし、企業や社会のグローバル化をサポートできることに興味を持ちました。

周囲に転職の話をすると、「いい会社に入ったね」と言われましたね。当時は今よりずっと英語にフォーカスが当たっていて、通訳者という存在もよく取り上げられていました。私の周囲には英語が堪能な人も多かったのですが、皆が口を揃えて「英語と言えばサイマル」「語学と言えばサイマルと言っていたのを、今でもよく覚えています。

【思い出の2冊】左から入社試験で感想を書いたサイマル出版会の「アメリカのユダヤ人:ある民族の肖像」(C.E. シルバーマン・著, 武田 尚子・翻訳)と著者サイン入りの「通訳の技術」(小松達也・著)

林さんのサイマル・ヒストリー

【入社~現在】

  1. 通訳部(現・通訳事業部) コーディネーター
  2. コミュニケーション事業部 通訳マネージメント課(現・通訳事業部 アサインメント課) のちセクションマネージャー
  3. コミュニケーション事業部 通訳1課マネージャー
  4. 営業本部(現・営業部)所属長
  5. HRD事業部(現・HR事業部)所属長
  6. 通訳事業部GM
  7. 取締役 および 営業部GM  

――通訳コーディネーターとして入社されてから、色々な部門に行かれたのですか。

林:ええ。年数的には通訳部門が長いのですが、法人向けから個人向けまで様々なサービスに携わってきました。今は営業部門を統括するとともに、取締役を務めています。

――通訳といえば部署名が何度も変わっていますが、コミュニケーション事業部というのは面白い名称ですね。

林:当時、サイマルは通訳会社というイメージが強く、多くのお客様が通訳サービスをご利用くださっていました。そこで通訳を起点にする「通訳事業にとどまらないコミュニケーション事業のサイマルをめざす」という思いから、この部署名になったと聞いています。おかげさまで翻訳も当初よりサービス領域も広がり、通訳機材、人材事業など多くのサービスをご利用いただいていますが、社内ではまだCOM(コミュニケーション:communicationの略)という通称として残っていますね。

プロフェッショナルとは

成長と革新のきっかけ

――林さんのこれまでのサイマル人生において、特に印象深かったことを2,3教えていただけますか。

林:まず、サイマルとしても個人的にもひとつのターニングポイントだったかなと思うのは、1997年の経営難でしょうか。再建に向けて、当時の上司が「私たちは変わらなければ」と何度も言っていたのが印象的で、今でも鮮明に記憶しています。私は1996年入社で、当時まだまだ新人社員でしたが、「今後サイマルはどんな会社に再生するのだろう」「そのために私には何ができるだろう」と自問自答しながら行動するようになりました。

あの時、人は乗り越えるハードルが高い時ほど成長できるし、強く願った方向に進んでいけるものなのだと身をもって知りました。現在のサイマルがあるのは、多くの関係者の皆様のご協力はもちろんのこと、経営陣や社員一人ひとりのマインドチェンジとアクションの成果だと思っています。

通訳者の矜持に触れて

林:それから9.11(アメリカ同時多発テロ事件)と3.11(東日本大震災)も忘れられませんね。起こった場所はアメリカと日本と違いますが、生じる影響はよく似ていて、世界はつながっているのだなと実感させられました。

東日本大震災から間もなくのことです。どんなに大変な状況下でも開催される会議はあり、サイマルも通訳業務を続けていました。そんな時、ある施設への同行通訳をご依頼いただきました。余震や安全性などの懸念もある中、通訳者ご本人の強い希望でお受けすることにしました。
「震災後ずっと同じチームの一員という気持ちで通訳をしてきた。大変な時に自分だけこの場から離れることはできない。今回も通訳者として同行したい」という言葉に、通訳者のプロフェッショナリズム、矜持というものを強く感じました。

多くの通訳者の方は「国際貢献がしたい」「人の役に立ちたい」という強い思いを持っています。仕事という枠をはるかに超えた、使命感のようなものかもしれません。このような方々と一緒に働けることを、その時あらためて誇りに思いました。

絶対の信頼に応えるチーム

林:また、ある大学の先生からいただいた講演会の通訳依頼も、非常に印象に残っています。

こちらの事前対応に不備があり大変激昂されているとのことで、担当者と一緒にお詫びに伺いました。講演会の通訳は成功裏に収めますとお伝えしたら、「当然です。そのためにサイマルさんにお願いしたんですから」と非常に強い言葉をいただいたのです。
色々伺ったところ、その先生は講演会を企画されるのが初めてで、しかも「著名な学者を招聘するからには成功を」というのが絶対条件だったんです。そんな重大な場面で「サイマルなら」と信頼して依頼してくださったのは本当にありがたかったし、そのご期待に必ず応えたいと思いました。

この講演会が印象深い理由は、実はもう1つあります。講演テーマがとても難解で、素人の私は、資料を見ても全く理解できませんでした。ところが通訳を聞くと、理路整然としていて内容がよく理解できたのです。先生からも「専門性の高いテーマなのに、とてもわかりやすく通訳していただけた。通訳者の方はしっかり準備して臨んでくださったんですね」とお褒めいただきました。

通訳手配の担当者にも報告がてらその話をしたところ、「以前その学者の講演会を聞いたことがあって、この人のこのテーマなら、絶対この通訳者が最適だと思いました」とのこと。手前味噌ですが、通訳者、スタッフ、チーム全員が本当に素晴らしいプロフェッショナルな対応だったと本当に嬉しくなりました。

つねに好奇心とともに

――今年で勤続29年とのことですが、それだけ長く勤め続けてられてきたのは、サイマルにどんな魅力を感じられているからなのでしょう。

林:私にとって、サイマルは知的好奇心を高めてくれる存在です。仕事を通して社会の動きや変化をダイレクトに感じることができるし、これほどグローバルなテーマを扱う面白い会社もそうないのではと思っています。

それに、サイマルでは、何年、何十年とお付き合いさせていただいているお客様が多くいらっしゃいます。私自身、日本の産業を支援することの意義を前職を通じて実感しました。サイマル入社後も、語学サポートという形で、グローバルに活躍する企業や団体の発展に伴走させていただける機会があることはとても光栄なことだと思っています。

――辞めたいと思ったことはありませんか?

林:ありましたけれど、「もう少し様子を見てみよう」「もう少し頑張ってみよう」と思っているうちに、気づいたらここまで続いていました。

もちろん大変なこともありますが、それ以上にワクワクすることも多いですね。なにか少しでも興味の持てることを見つけられたら、仕事はずっと面白くなるし、世界も知識もどんどん広がるのかと思います。また、様々な分野や業界の方々のお話を伺える機会は大変貴重ですし、何より新しいことを知ることは純粋にとても楽しいことですよね。

――最後に、林さんがサイマルに「こうあってほしい」と願うことはありますか。

林:人を大切にする会社であってほしいです。お客様、登録通訳者翻訳者、講師、協力会社の皆さま、社員――サイマルに関わるすべての人を大切に。社会や環境がどんなに変わっても、サイマルのビジネスは人が基本だと思っています。

人とのコミュニケーションには決まった形や正解があるわけではありません。どんな局面でも「どう伝えたらうまくいくか」を考え、相手と真摯に向き合い、よい関係を築くことができれば、一人では難しく、ハードルが高いと思うことも乗り越えられる――。当たり前に聞こえるかもしれませんが、こういった努力を続けることが、今の時代だからこそとても大切に感じています。



※1 小松達也。サイマルの創業者の一人。同時通訳の草分け的存在。サイマル・アカデミーを設立し、後進の育成にも注力。

※2 村松増美。サイマルの創業者の一人。同時通訳者で「ミスター同時通訳」と称された。
※3 1967~1998年。サイマル・インターナショナルの関連会社として、異文化、言語、国際理解などの書籍を多数刊行。

 

『通訳・翻訳ブック』編集部

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