発音のセルフチェック【英語発音上達のコツ】

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レベルやキャリアを問わず、関心の高い「英語の発音」。英語音声学や発音指導のプロである青山学院大学准教授の米山明日香さんが、その上達のコツを、テーマごとに詳しく解説します。今回のテーマは「発音のセルフチェック」です。

セルフチェックの重要性とそのポイント

この記事をご覧になっている方の多くは、通訳者あるいは通訳志望者でしょう。そうした方々は大抵、ご自身の通訳パフォーマンスを録音して聞いたことがあるかと思います。

たとえば通訳学校に通っているときは、自分の通訳したパフォーマンスを記録として残したのではないでしょうか。私自身も通訳学校の生徒であった頃、1回の授業でカセットテープを2、3本は録音していましたので、カセットテープの数が膨大になった記憶があります。現在、その学校ではUSBメモリーに音声を記録していると伺いました。便利な媒体が使えるようになったことは、うらやましい限りです。

ところで、通訳パフォーマンスを記録したものは、その後どのように扱っていますでしょうか。英語発音向上のために、ぜひ録音したものをご自身でフィードバック、つまり、セルフチェックしていただきたいのです。

通訳者や通訳志望者は、こうした録音したパフォーマンスを聞き返す時、当然のことながら「通訳内容とその正確さ」に注意が向くと思います。ですが、発音を向上させたいと考える場合、ぜひ発音にも目を向けてください。そしてご自身の発音を客観的に聞いて、分析してください。その際のチェックポイントは以下の通りです。

  1. 発声はどうか。聞きづらくないか。
  2. 通訳内容(通訳関係者の場合)や話す内容(一般英語学習者の場合)と声のトーンはあっているか。
  3. 話す速度は適切か。
  4. 単調な話し方(= 単調なイントネーション)になっていないか。
  5. 意味の間違いを引き起こす単音(母音・子音)の間違いはないか。(「英語母音攻略」を参照)

なぜ自分自身で発音のチェックをすることが重要かと言いますと、自分の声を客観的に聞くことによって、自分の発音上の弱点を理解できるようになるからです。英語学習の際、英作文や読解で「自分がどこで何故つまずいたか」に気づいて初めて英語が上達するのと同じことなのですが、残念ながら発音の場合、セルフチェックがなかなか行われないといった現状があります。細かい発音のチェックは難しいとしても、上記の5項目でしたら簡単にセルフチェックは可能です。

ところで、こうした方法をすすめると、学習者から「録音した声を聞くと、いつもの自分の声とは違うので違和感がある」という声をしばしば耳にします。しかし実際は、録音された声こそ、他人が聞いている声なのです。逆に言えば、自分が聞いている自分の声は、聞き手側からすると「本当の声ではない」ということになります。

通訳(志望)者も、そうでない一般の英語学習者も、録音された「本当の声」をもとに自己分析をすることが、英語発音向上につながるのです。ですから、発音のセルフチェックは、英語発音を向上させたいすべての英語学習者におすすめの英語発音学習法なのです。

 
 

※この記事は2013~2014年にCAISウェブサイト内『通訳情報ステーション』に掲載されたものです。 

 

米山明日香(よねやまあすか)

青山学院大学社会情報学部准教授博士(文学)。専門は英語音声学、英語教育、発音指導、英語プレゼンテーションなど。大学卒業後、英国University College Londonに留学し、音声学修士号(MA in Phonetics)を取得後、日系航空会社勤務、通訳者、大学講師などを経て現職。公式ブログ:http://blog.livedoor.jp/bihatsuon/

 

 

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