翻訳・校閲に役立つ編集スキル Excel 中編【レイアウト】

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Office系アプリで作成されたドキュメントの翻訳・校閲工程において気をつけるべき点や、知っておくと役立つ機能などについて紹介していく本連載。前回のExcel前編で準備は万全ですか? 今回はいよいよ実践編になります。

前回でExcel特有の仕様や効率よく作業するための準備として、クイックアクセスツールバーへのショートカット登録について説明しました。今回は実践編として、「日本語から欧文へ翻訳後に文字量が増え、ページをオーバーフローしたデータをページ内に収める」ための作業を、比較的簡単な操作で高品質な仕上がりにするための方法をご説明します。

ページのオーバーフローは改ページプレビューで確認

まずは、日本語では1ページに収まっていたデータを翻訳したと想定したサンプルデータをご覧ください(テキストはダミーです)。

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通常の表示画面ですとセル内のテキストがオーバーフローしているのは確認できますが、ページに収まっているかどうかの確認はできません。しかし、印刷プレビューで確認すると下記画像のようにページが増えていることが確認できます。

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このように印刷プレビューでページの状態は確認できるのですが、Excelでは編集画面上でページの区切りが確認できる「改ページプレビュー」が用意されています。

改ページプレビューに表示を切り替えるには、メニューから「表示」を選択し、「改ページプレビュー」を選択します。

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改ページプレビューを選ぶと画面表示が以下のように変わります。

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表示エリアが青枠で囲われます。画像では2ページ目の表示が分かりづらいのですが、何ページ目かの表示がつきます。また、ページの区切りには青い破線が付きますのでどこで改ページされているのかは、青い破線で確認できます

1つ注意していただきたいのが、改ページプレビューでは改ページ位置は印刷結果と同じですが、セル内の文字の折返し位置などは印刷結果とズレたままということです。あくまで改ページの位置の確認ができるというだけで、実際のセル内の確認・調整には印刷プレビューで確認する必要があります

それでは改ページプレビュー画面で実際にページに収めていく作業の説明に入ります。

フォントサイズを下げてページに収める

和文などから欧文への翻訳後は文字量が増えますので、フォントサイズを下げて収めていく調整が基本となります。

フォントサイズを下げるには、PowerPoint編で説明したフォントの縮小ボタンf:id:simulmm2019:20200602111008p:plainを使うこともできますが、ExcelではPowerPointの時とは挙動が異なり、違う結果になりますので注意が必要です

実際に試してみましょう。

PowerPoint編で説明したように、まずは全体を選択して縮小ボタンf:id:simulmm2019:20200602111008p:plainを押します。

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その結果以下のようになります。

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フォント縮小ボタンを押しているのに、逆に文字が大きくなり、翻訳直後の状態よりさらにオーバーフローしてしまっています。

これは、同じフォント縮小の機能を使ってもPowerPointでは「選択オブジェクト内すべてが元のサイズの比率に応じて縮小される」のに対してExcelでは選択された一番左上のセルのサイズを縮小し、それ以外はそのサイズに強制的に変更されるという挙動の違いによるものです。

選択された一番左上のセルにあたるA1セル(Quisque in)に注目して、フォント縮小ボタンを押す前と後を比べてみると 、

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確かに元の12ptから1pt小さくなり、11ptになっていますが、上記仕様により選択範囲内のA1セル以外のセルもすべて11ptに変更されるため、もともと10ptだった本文のセルが11ptになり逆に大きくなってしまったのです。

そのため、Excelでフォントの縮小ボタンf:id:simulmm2019:20200602111008p:plainを使用するには、以下のように同じフォントサイズのセルだけを選択して使用する必要があります

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10ptの本文セルだけを選択し、全体が1ページにおさまるまで縮小ボタンf:id:simulmm2019:20200602111008p:plainを押します。

今回は2度押し、8ptまで下げたところで以下のように全体が1ページにおさまりました。

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このように、まずは全体をざっくりとページに収めてからセルごとの細かな調整を行う方が簡単です。
全体を収めたあとはセルごとに細かく調整を行います。

最後に

ここまでの手順で全体を1ページに収めてみましたが、実際にはオーバーフローしているセルも多数残っています。これらをすべて表示させるには、さらなるフォントサイズの縮小が必要になりそうです。しかしながら、フォントサイズを下げれば下げるほど視認性は下がります。そのため、無駄な余白は極力削ってフォントは可能な限り大きくすることが重要になります。

次回の後編では、オーバーフローせず、視認性をあげて見やすくする方法についてご紹介します。



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岡本正一(おかもとまさいち)

DTP、デザイン制作会社「ぽんけカンパニー株式会社」代表取締役。 主に翻訳を伴うレイアウト、デザイン作業において多様なジャンルのデータを毎月3,000以上担当。 レイアウトの美しさ、再現度のみならず、データの内部構造までも考慮したデータ作成を心がけている。

 


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