Office系アプリで作成されたドキュメントの翻訳・校閲工程において気をつけるべき点や、知っておくと役立つ機能などについて紹介していく本連載。前回のPowerPoint編はいかがでしたか?今回からExcel編になります。まずはじめに準備しておきたいこととは……?
WordやPowerPointと違って、ExcelはDTPソフトではありません。そのためレイアウト用の機能が不足していたり、他のOffice系アプリケーションとは異なる仕様が多く、通常Excelでのレイアウト調整は難易度が高い作業になります。今回はそのExcel独自仕様や作業する前に設定しておくと便利な機能などについてご説明します。
Excelの仕様で知っておきたいこと
Excelが他のOffice系アプリケーションと大きく異なり、かつ一番頭を悩ませる原因となっている仕様が画面と出力時の結果が異なることです。WordやPowerPointはもちろん、InDesignなど一般的なDTP用のアプリケーションは基本的に画面表示と出力結果が同じです。
ところがExcelにおいてはDTPソフトではないためその仕様になっていません。そのため、画面表示だけでは確認ができず、必ず出力結果で確認する必要があります。 実際にサンプルデータを元に確認してみましょう。 下記画面上の画像ではABCのセルともに文字がセル内に収まっています。
ところがこれを印刷すると下記のように出力されてしまいます。
各セルともオーバーフローしています。これはセル内の文字の折返し位置に注目していただければおわかりかと思いますが、画面上より横幅に入る文字数が減っている関係で行数が増えてオーバーフローしています。
それだけではありません、セルBに注目してみてください。セルBについては画面上、印刷結果ともに同じ4行で行数が増えていないにも関わらず、印刷結果ではセル内に収まっていません。せめて画面上の方が印刷結果よりも文字、行数が膨らむ仕様であれば画面上で収まってさえいれば、出力結果でオーバーフローする心配はないのですが、実際には印刷結果の方が画面上より膨らむ仕様のため、必ず印刷結果で確認する必要があります。
印刷プレビューをクイックアクセスツールバーに登録する
先程の説明でExcelでは必ず印刷結果で確認する必要があることをご理解いただけたと思いますが、確認・修正のたびに紙への印刷やPDFなどに出力して確認するのも手間ですし、ページ全体の出力結果から修正箇所をまとめて画面上のデータに反映していくのも見落としの原因となりかねません。そのためセル1つずつに対して画面上、印刷結果をシームレスに行き来して確認できる印刷プレビュー機能を使うことをお勧めします。
通常、印刷プレビューを表示するには「ファイル」→「印刷」を選ぶ必要があるのですが、確認のために毎回そのステップを踏むのは手間ですので、クイックアクセスツールバーに「印刷プレビュー」を登録して1クリックで呼び出せるようにすると便利です。 「印刷プレビュー」をクイックアクセスツールバーに登録するには以下の方法で行います。
1. 画面左上のクイックアクセスツールバー上で右クリックし、「クイックアクセスツールバーのユーザー設定(C)」を選択します。
2. クイックアクセスツールバーのカスタマイズ画面で
(1)「コマンドの選択(U)」を「基本的なコマンド」にして、
(2)「印刷プレビューと印刷」を選択し、「追加(A)>>」をクリック。
(3)「OK」をクリックして完了です。
クイックアクセスツールバーに印刷プレビューが追加されました。
これで印刷プレビューを1クリックで呼び出せるようになりました。
最後に
準備編は以上です。次回からは実践編として実際にサンプルデータを用いて、オーバーフローしたテキストを比較的簡単な操作でページ内にきれいに収める方法について解説します。
DTP、デザイン制作会社「ぽんけカンパニー株式会社」代表取締役。 主に翻訳を伴うレイアウト、デザイン作業において多様なジャンルのデータを毎月3,000以上担当。 レイアウトの美しさ、再現度のみならず、データの内部構造までも考慮したデータ作成を心がけている。
【続きはこちら】Excel中編
として働くなら
サイマルへ
サイマル・グループでは、世界との交流を共に支える通訳者・翻訳者を募集しています。あなたのキャリア設計や就業スタイルにあった働き方で、充実したサポート体制のもと、さらなる可能性を広げてみませんか。