はじめてのinterprefy(インタープリファイ)導入~主催者・通訳者・登壇者のオンラインセミナー準備~

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オンライン会議やセミナーで利用の場を拡げる遠隔同時通訳プラットフォーム「interprefy(インタープリファイ)」。はじめて利用する際、どんな準備が必要なのでしょうか。今回オンラインで開催したサイマル・アカデミーの人気セミナー「通訳者翻訳者への道」を実例に「主催者」「登壇者」「通訳者」の3つの視点から徹底レポート。会場開催時との違いを比較検証します。

◆主催者/アカデミースタッフ編

今回のオンラインセミナーはzoomのウェビナーを使用し、遠隔同時通訳にはinterprefyを使用しました。事務局担当はウェビナーの操作面の不安に加えて、お客様にセミナーと同時通訳のいずれもきちんとご視聴いただけるのかを心配していました。ですが、ふたを開けてみると大きな問題もなく、海外を含め各地から多くの方に視聴いただけたことで、あらためてウェビナーとinterprefyの利便性を実感していました。

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セミナー配信会場の様子。司会(左)と講師(右)の間には飛沫防止用のパネルも設置しました。

1.通訳者の手配

今回は「英語」と「中国語」の同時通訳を入れました。英語通訳者は数回のinterprefy経験がありましたが、中国語通訳者は、今回が初の案件。はじめてinterprefyを使う通訳者には本番前に「事前トレーニング」がありました。また、セミナー前から本番が終わるまで、サイマル・テクニカルコミュニケーションズ(以下、サイマルテック)のサポートがあったので、通訳に関しての心配はありませんでした。

2.interprefyの依頼

同時通訳の依頼という点では会場開催時と大きな違いはありませんでしたが、参加者がinterprefyを聞くためのご案内の入れ方を工夫しました。具体的には以下の内容を、できるだけわかりやすいようにウェブサイトや視聴URLのメール、セミナー開始前の画面など随所でご案内を入れました。

・セミナー視聴用のPC
・スマートフォンなどinterprefyを聞くための別のデバイス
・interprefy専用アプリのダウンロード方法
・セミナーの視聴方法

interprefyについて参加者がどんな疑問を持つのか、またセミナーと同時通訳の両方を聞くために「デバイスを2台準備」というのが参加者にどの程度のハードルになるのかイメージが湧かず、セミナー当日に多くの問い合わせが寄せられることを心配していました。しかし実際にはそのようなことはなく、多くの方にスムーズに利用いただけました。

また、オンラインセミナーで通訳を入れる場合、登壇者の音声が通訳者にしっかり聞こえるようにすることも大切です。今回はヘッドセットを使い、リハーサル時に登壇者の音声チェックも行いました。

※通常サイマルのお客様には、イヤホンマイクを使用する際、ワイヤレスではなく有線イヤホンのご使用をお勧めしています。

3.通訳者との事前打ち合わせ

今回、中国語の同時通訳に関しては前日に別途ウェブ会議を設定し、登壇者と通訳者に打ち合わせをしてもらいました。登壇者も通訳者もウェブセミナーは初めてだったため、打ち合わせをすることで事前に双方の不安を解消できたのは良かったと思います。

◆登壇者/講師編

登壇者にとってもウェブセミナーは今回がはじめて。会場開催時と事前準備や段取りで大きな違いはないようでしたが、登壇講師の感想としては、共有画面の使用効果が会場開催時と比較してより鮮明になるため、プレゼン資料のよしあしが視聴者に与える印象・効果を左右すると感じる、ということでした。

そして登壇者にとっての一番の違いは、聴衆の姿が見えないこと。登壇講師に聞いてみると「視聴者の表情・反応がわからず、何をイメージしながら語ればいいのかが掴めずに戸惑った」という声があった一方で、できるだけインタラクティブにするためにzoomの投票機能を使用するなど、聴衆参加型でセミナーを行った講師もいました。

今回zoomの投票機能を使用した講師は普段、通訳者として様々なお客様のセミナーの通訳を担当しています。通訳者として担当した案件で、クライアント様が様々な工夫をしてセミナーを行う様子を見て、今回のセミナー内容を検討したそうです。
 

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zoomの投票機能でアンケートをとることで、一気に参加者と講師の距離が縮まりました。

通訳者

通訳者にとっても「遠隔同時通訳」はまだまだ手探り状態。interprefyは同時通訳に特化した通訳システムで、通訳者が操作性に不安やストレスを感じず、通訳者の使いやすさを重視した仕様になっています。今回interprefyが初体験という人も含め、同時通訳を担当した通訳者のみなさんに操作性やトレーニングについて聞きました。

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通訳センターでの事前トレーニングの様子。通訳画面の操作方法を技術スタッフがレクチャーします。

1.事前準備について

・事前資料の読み込みや背景知識のリサーチについては、会場開催と大きな違いはありませんでした。

・これまでハードコピーの資料が多かったが、現在は感染拡大防止の観点でデータ共有が増え、PCやタブレットなどで資料参照するケースが増えています。

・スピーカーとの直前ブリーフィングができる場合でも、印刷した紙資料よりPC画面のほうが視覚に入りやすいため、スピーカーから聞き出す情報やスピーカーご自身から積極的に「これについては……」と話してもらえるチャンスが多いように感じました。

2.事前打ち合わせについて

・今回はセミナー前日にウェブ会議を行い、疑問点を解消することができましたが、多くの案件はスピーカーと直接会うことができないためブリーフィングの時間がいただけず、セミナー直前に質問したい点・疑問点を確認するチャンスがないのが非常に悩ましいです。

・直前に口頭やチャット機能などで質問できそうな場合は、早めにウェブ会議にログインし、自主的にブリーフィングをお願いするなどの工夫を可能な範囲で行っています。

3.セミナー中の通訳について

・これまでは同時通訳ブースが会場内または隣接していたため、近くに大勢のお客様の熱気を感じられ緊張感や臨場感がありましたが、リモートの場合はそれが感じられにくいです。

・登壇者の表情や様子が見えないと通訳しにくいのでは、また登壇者との一体感を得られにくいのではと心配していましたが、通訳センターに大きなモニターが常設してあり、登壇者の様子がきちんと確認できたので、その心配は無用でした。

・会場開催時はサイマルテックのスタッフが会場にいたので、音量調整やマイク使用を促すお願いをしてくれていましたが、遠隔通訳になってからは、発言者によってはお声がとても小さく聞き取りに苦労することがあります。

4.通訳センターでの様子

・今回はじめてのinterprefy案件でしたが、サイマルテックのスタッフによる事前トレーニングがあり、また実際の操作は思ったほど難しくありませんでした。

・まだ通訳者のinterprefy経験が少ないこともあり、これまでのブースと同様、サイマルテックのスタッフが音声を確認・調整 してくれているうえ、interprefy上の問題があればスイスのInterprefy社のチームもスタンバイしてくれているため、安心感がありました。(自宅で業務を行う場合は、トラブル時も自分で解決するしかなく、またマイクのミュートボタンをきちんと押せているのか、確認してくれる人が誰もいないため常に心配です)

・これまでのブースは中が狭かったですが、通訳センター内はスペースに余裕があり、照明も明るく、ある程度換気された部屋で仕事ができるため安心感があります。

・zoomなど他のウェブ会議システムの場合はパートナー通訳者との交代が難しいのですが、通訳センターでは通訳者が隣同士のため、マイクの交代がスムーズでした。

◆おわりに

最後に、登壇講師の通訳者に「これからの通訳者のあり方」について聞きました。

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セミナー内でも「これからの通訳者のあり方」についての話がありました。
Withコロナの時代は、通訳者がデジタルデバイスと共存する時代。仕方なく使うという姿勢から、積極的に取り入れる姿勢が必要です。会議通訳者として「遠隔同時通訳は、もはやニューノーマルである」という意識を持ち、そのうえで、早いうちにinterprefyほか同様のツールの基本操作を習得し、ありがちなトラブルや課題について予め知り、対応力をつけていくことが大切です。


携わる全員がほぼ「はじめて」だった今回のセミナー。会場開催時と準備が異なることも多く最初は大変な面もありますが、どこにいてもウェブセミナーに参加でき、さらに同時通訳も聞けるというのは、実際に体験してみると大変便利で感動します。新しいセミナーの形、みなさんも機会があれば是非体験してみてください。



編集:通訳・翻訳ブック編集部


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